池上桃子
東京都教育委員会は24日、都立高校入試で男女別に定員を設けて募集する制度を廃止し、段階的に男女合同定員に移行することを決めた。都道府県立高校で男女別定員制度が残っているのは東京だけで、同じ学校なのに男女で合格ラインに差が出るため、「ジェンダー平等に反する」と廃止を求める声が出ていた。都教委は移行を終える時期は示さなかった。
今春、男女合同定員なら合格していた不合格者は女子約700人、男子約100人
都教委によると、移行は3段階で進める。第1段階として、来春の新入生を選抜する2022年度入試から、男女別定員制をとる全日制普通科高校すべてで、定員の1割を男女合同の成績順で決める「緩和措置」を実施する。合格ラインの点差を縮めるのがねらいで、今春の入試では一部の高校で実施していたのを全校に拡大する。第2段階として、男女合同の割合を2割に増やし、最終段階で男女合同定員に移行する。
都教委がこの日公表した今春の入試の結果分析によると、男女別定員制をとっている110校のうち過半数の56校で女子の方が合格ラインが高く、36校では差がなかった。男子が高かったのは18校。男女合同定員なら合格していた不合格者は女子で約700人、男子で約100人いたという。
今後、男女合同定員を導入した場合、女子の合格者が約600人増え、男子の合格者は約600人減るとの試算結果も発表した。
都立高校の男女別定員制度は1950年度に導入された。都立高と私立高で全体の定員を調整した上で、都内の公立中の卒業予定者の男女比から、男女別の定員を設定している。都教委は廃止について、中学の進路指導に影響が出る▽都立高に女子が流れ、女子校が多い私立高の経営に影響が出る▽男子の進学の受け皿が不足するおそれがある――などの声があることを踏まえ、段階的に進めることにした。(池上桃子)
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル